iNG Review

本ブログは http://weblog3d.blogspot.jp レビューのみを抜粋する実験。

【書評】メッシュ すべてのビジネスは〈シェア〉になる

この本の購入から既に1年と2ヶ月が立つ。しかし良い本なのと日本ではまだまだシェアの文化自体の普及が進んでいない。

よって1エントリー割くことにした。

サービス業で従事している人には、本書から学ぶことは多いはずだ。

私も例外ではなかった。

一言で言うとメッシュとは繋がりのことだ。

人は日々生活する中で困ったことがあり、それを解決(ソリューション)するサービスを指す。

ITが普及した今、開始から大きな投資をしなくても小規模&低コストから事業が始められるようになった。

シェアやレンタル、リユースを取り入れたビジネスやサービスが生活に浸透し、インターネットによる繋がりがまるで網の目【メッシュ】のようになる。 本書はその関係と実例をまとめた本である。 

メッシュ すべてのビジネスは〈シェア〉になる メッシュ すべてのビジネスは〈シェア〉になる
(2011/02/17)
リサ・ ガンスキー

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最初に書いた理由から、メッシュのアイデアは即座に実行される。

するとフィードバックが集まってくる。 それを直ぐに改善し、リピート(評判)してもらう。

この本には実例が山盛りだが2点のみ紹介。

Zipcarというカーシェアリングサービスでは車に名前を付けたり(こうすることで車をキレイに使ってもらえる。)、自動車メーカーと組んで新車に関するフィードバックを集めたり等、そのまま他の製品でも転用出来そうなことも多いのが参考になった。

レンタルDVD業界No.1のNetflixは従来のDVDのレンタル事業は優良顧客からの延滞料金で儲けている(だから逆に顧客満足は低い)ビジネスモデルだと気付き、サブスクリプションで定額料金にし延滞料金を取らないビジネスモデルを実践し数年で業界首位になった。

この二つの例の共通点は問題を消費者といっしょに解決していったことである。

 

『Changes in the relationship』

 

製造業→取引先→消費者という、一期一会の関係から、 取引先を飛ばし直接消費者とコミットし、そのフィードバックを得てサービスに反映する新しい仕組みになり、繰り返すことでそこに信頼が生まれてくる。

リピートされ利用すること自体も楽しいサービスの構築。

メッシュの多く、ほぼ全ては発想の転換がイノベーションの原動力になっていることが分かる。

だからこそ、発想を実装し実行するスピードが重要だと認識させられた。

そもそも消費者の希望するサービスは低価格だけでない。

ではコストを掛けて過剰サービスにする必要があるのか?

それも違う。

ではどうすれば良い?

そういった疑問をもつ人こそは是非、御一読を。

【書評】Better Than Not ヤマダ電機の「PCDA」経営

自分に身近な存在だけにこの本については書くべきか非常に迷った。

まずこの本が誰に向けて書かれているかといえば管理職や経営者向けである。 この本を見てヤマダ電機で働いてみたいと思う人は少ない。そしてヤマダ電機で買いたいと思う人が増えるわけでもない。 つまりこの本自体はヤマダ電機の宣伝にはならず。 よって書くことにする。

ヤマダ電機の「PCDA」経営 ヤマダ電機の「PCDA」経営
(2012/03/02)
得平 司

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  • 評価 ★★★☆☆

第一章の12ページから72ページまでの60ページを読めば簡潔にヤマダ電機の歴史のことは分かるので嬉しい。 ここで日本の家電量販店や、ウォルマート、ベストバイなどとの経営の比較がされている。ヤマダ電機の戦略は一言でいうと最大公約数を狙うというものだ。

「では現場では実際にどういう業務をしているのか」と言うことまでは趣旨と違い踏み込まれていないのでこれはいつか私が書こうかな。

 第二章のコーポレートガバナンスについては少しというか全然物足りないが一瞬で終る。

この本はマネジメントの本なのだ。 第三章から第七章までがマネジメント本編である。

【最も重要な経営資源であるマネジメントサイクル】

PDCAサイクルのPlan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)ではなく

ヤマダ電機ではPDCAではなくPCDA、Plan(計画)→ Check(評価)→ Do(実行)→ Act(改善)で実行の前に評価が来る。

具体的には目標→計画→事前チェック→実行→事中チェック→実行→事後チェック→改善→コーチングとサポートである。

これは簡潔に言うと精度を高める為であり間違えない為である。

Try&Erorr の機械とは違いチェックに一手間二手間かかる人間にはこのサイクルは合理的であると言える。

まぁPDCAもただの概念なんで、そのまま運用する企業は少ないと思われ。

目標が先に来るとか当たり前な気がしないこともない。

基本的に重要だがつい見落としがちになりそうな所も数値化し、定量化し、行動しようというものである。

 

【在庫を減らし、人を減らしても、店が回る為のマネジメント】

店長がいなくても回る店作りの所にも書いてあるように、マネジメントは無駄を省き資源を活用し最大化するというのが本来のテーマである。

政府関係者こそ本書を読んで見習って欲しい。なぜ民営化するほうが良いのかは上記のテーマであるからだ。

しかし最大公約数を狙うので全員をカバー出来ない。

それを小商圏市場と見て、進出し始めているのは、良く研究していると思う。

 

【仕組みの進化の先】

最後に本書とは関係ないが、ヤマダ電機などが推奨するマニュアル化、標準化の進む将来は何と戦うことになるかはもう分かっている。

それは「機械」である。

機械のコストが人件費より安くなる将来これは確実に実現される。

これが私たちの直面する未来なのは明々白々なのだが、其の時ヤマダ電機が「企業に大事なのはあくまで人なんです。」という言葉はどう解釈されるかはまだ分からない。

ただその時は会社の存在そのものの形は大きく変わっているだろう。

Destination end up with Serious

 

p.s . 例によって要点まとめはブクペに投稿したので興味のある人は合わせて読んで欲しい。

http://bukupe.com/summary/4212

【品評】もう何も怖いことはない「This Is The New iPad」 

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  • 評価 ★★★★★

 

New iPadの4Gモデルを購入してみて一週間が経過したのでレビューする。

購入したiPadの色は白、容量は32G。SoftBankにて契約。

ホームページでは大々的に記載されているのに日本では4G使えないとか訳の分からぬSoftBankにはため息が。。。

本当はSimフリーでテザリングも使えるようにしたかったけど、販売日に手に入れられないとかとても待てない。

購入した理由は以下の2つ。

 

1.真逆を試したかった

 

今まで使っていた初代は黒の64GでWi-Fiモデル。3G通信が無いと基本的に外では電子書籍ビューワーに成り下がるという実感からである。家では3GをOFFに。

容量を下げたのは初代の頃なかったiCloudが始まったからというのがデカい。32GにしたのはRetinaのせいで解像度に比例してアプリの容量が上がると思ったからである。

色に関してはDankogaiが「ディスプレイの枠を意識しなくなる黒」というのもベターだとおもっているが、既に黒は2年間使ったので試す意味が大きい。

以上の選択は今のところ正解であったと思う。

 

 

2.初代iPadの処理に限界が来ている。

 

進化とは凄まじいもので重たいアプリ ※電子雑誌ビューワーの「ビューン」とかウォールストリートジャーナルとかGmailなどの動作が遅くて、結局ベッドまでMacBook Airを運んで使わないといけないという事態をなんとかしたかったため。

この問題は新型はメモリーが1Gに増えているおかげでなんなく解消された。

 

〜セットアップ編〜

 

セットアップはiCloudのおかげで超簡単。

電源を入れてWi-Fiにつないで、AppleIDでサインアップするだけ。

PCではとても考えられない。

iCloudの凄さはそれだけでエントリーを書けるがここでは割愛する。

端的にいって「iCloudって何」と意識する必要は何もない。

分からない人もただIDとパスワードを入れれば良いである。

アプリもメールも連絡先も設定もゲームのセーブデータもすぐに元通り。

 

〜何故iPad3ではないのか〜

 今回iPad3ではないことに混乱をした人が多かったようだが、ナンバリングを外した意味が既存ユーザーなら使えば分かる。

今回のNew iPadAppleによる「これがiPad」という定義である。

ディスプレイだけでここまで変化してしまうとは。

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 粗いドットの文字を脳内変換するときのコストが今まで如何にかかっていたかは使わないと分からない。

脳にも目にもエコとは。。。

雑誌を9.7inch で表示する場合にどうしてもピンチで拡大しないと字が潰れていたのが見開きのまま読める。(まぁ上のは無関係のiBooksだけども。)

そういう意味で未だ定義されていない今年発表されるであろうiPhoneの次世代期は「iPhone5」となるかそれとも。。。

 

 

p.s 余談だが今回ディスプレイ輝度の幅がかなり広がったのが個人的にかなり嬉しい。

消灯して使用するとき最低輝度でも明るすぎる故にアプリで対処できるもの以外はあきらめざるを得なかった。

 

 

 

【書評】若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書) 若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)
(2006/09/15)
城 繁幸

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  • 評価 ★★★☆☆

 

若者よりも若者より上の世代にこそ読んで欲しい。そして感想も聞きたい。

内容は若者がなぜ3年で辞めるかよりも年功序列制度についてがメインである。

若者が3年で辞めない為にはどうすれば良いのかとかの類いではない。

あくまでそうなる社会的背景を解き明かす内容である。

内容についてはブクペに投稿したのでそちらを見て欲しい。  http://bukupe.com/summary/4030

まさに同じ問題を私も考えているので共感する所が多かった。

読み終えた今はさらに考えが補強された感じがする。

なので★4つか迷ったのだが、不満があるのはどうすれば良いのかに対する回答の切れ味の悪さくらいだ。『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか』という続編で答えを出しているらしいので、そちらも読んでまた読み返したい。

時代が変わるもうそこまで来ているので後は雪崩を打つのを待つか自分でフリーウェイを選ぶか次第であると強く感じる。

そういう事を踏まえるとP53に出てくる大手外資系コンサルティング会社の人の言葉が印象に残る。「日本の企業でのキャリアなんて全く評価しない。あれは本質的にはマックのアルバイトと同じだから。そういう仕事を自分の意思で何十年も続けてきた人は同情はしても評価はしない。」

つまり最終的には自分次第なんだよね。

あなたには【自分自身をイノベーションすることが出来るか。Yes or NO ? 】

 

 

著者紹介 

城 繁幸 1973年山口県生まれ。東大法学部卒業後、富士通入社。以後、人事部門にて、新人事制度導入直後からその運営に携わる。2004年、同社退社後に出版した『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』(光文社ペーパーバックス)では、成果主義のさまざまな問題点を指摘し、大ベストセラーとなる。現在、人事コンサルティング「Joes’s Labo」代表。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見をメディアにて発信し続けている

【品評】PlayStation3

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http://uirow093.blog.fc2.com/ より転載。

評価 ★★★★☆

SONYから販売されているプレイステーション3を再考してみる。

これ程までゲームをしなくても毎日使うゲーム機は珍しい。

かなり使い倒してみて改めて書くプレステ3の機能を紹介してみる。

 

【Game】これはゲーム機なので当然。しかし性能的に未だに現役でいけそうなのはこの機種ぐらいである。

大容量のゲームのインストールに時間がかかり過ぎるのは難点。

私がたまに使うのは、人が遊びにきた時などでオンラインで簡単なゲームで安価で手軽に買えるのが良い。

 

【Music】 CDから音楽を取り込めジュークボックス替りになる。

しかもDLNAでネットワークサーバー(NAS)も使用できるので私はiTunesライブラリーと同期している。 休日で家にいる時は宇宙の映像のスクリーンセイバーに音楽を流しっぱなししていることが多い。

昨年MacBook Airに買い替えたのだが、ノートPCのしょぼい音では流石に厳しかったのだがこの機能によってホームシアターで大音量で聴けるわけである。

 

【Photo】デジカメからやSDカードなどのメディアから取り込め管理できる。

様々なバリエーションで凝っているスライドショーにお気に入りの曲を付けて再生できる。 これでTVがデジタルフォトフレームへ。

 

【Movie】 一番すごいというか、使っているのは動画機能である。

まずビデオカメラからの取り込み(AVCHD)管理&再生できる。 しかも昔バージョンアップして以降、取り込んだ動画を編集することも出来るようになった。

あまりの手軽さに私は撮った動画はまずプレステに取込むようにしている。 同じ頃に発売されたパソコンではキツイ、フルハイビジョン動画がサクサク動くのは流石で、グラフィックチップの塊のようなゲーム機の成せる技だろう。

先述したDLNA機能でPCの動画も殆ど同期させて再生出来る。

 

【App】オンデマンド動画配信サービスHuluにもアプリのインストールで対応されており、月額1480円払ってるユーザーは追加料金なしでテレビでもハイビジョン動画が見放題になる。

torne (トルネ) (CECH-ZD1J) torne (トルネ) (CECH-ZD1J)
(2010/03/18)
PlayStation 3

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【TV】Torneという格安テレビチューナーを付けることでテレビ番組の閲覧&録画が出来るようになる。 番組表などの動きがサクサク。根がゲーム機なのでかったるい家電製品の動きを完全に凌駕している。 衛星放送が映らないのが弱点ではあるが、そういうテレビマニアはレコーダーを持ってるだろうし、あくまで手軽さである。 面白いのがTwitter連携でライブ機能をオンにすると普通のテレビ番組がニコニコ動画のようになるのだ。 見てるだけでも楽しい。 地方テレビ局なのでそこまで多くないが生中継の全国放送などはテレビの楽しみ方が変わると思う。まぁ私はあまりテレビ見ないが... Torneを買う人はSONYの純正リモコンが使いやすいのでセットで買ったほうが良い。

PlayStation 3用 BDリモートコントローラ (CECH-ZRC1J) PlayStation 3用 BDリモートコントローラ (CECH-ZRC1J)
(2011/03/31)
PlayStation 3

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【Internet】ここ何週間のアップデートでブラウザ機能がパワーアップして大分動作が機敏になってきた。

他の機種でもブラウザがついてる機種ははある。しかし実用性に乏しい。

Wiiのブラウザでは解像度が低過ぎてテキストが読めないなど。

プレステ3ではニコニコ動画などの動画サイトも大画面で楽しめる。

 

最後に【苦言&提言】 もちろん苦言もある。

買ったばっかしのゲーム機をやろうとしたら本体のアップデートがいる場合が多々有り、そのアップデートが終わった後にソフトのインストールがあり、その後ソフトのアップデートがあり、3時間くらい何もできないのは勘弁して欲しい。

もうLinuxのインストールもできないんだし自動でアップデート出来るようにすべきだ。

なんかプレイステーションプラスという有料会員になればそういう事も出来るらしいんだけど、ユーザビリティーが下がっているので無料にした方が良い。

Huluなどのアプリのを拡充しプラットフォームを整備しそこでの手数料で儲けるようにすべきだろう。

 

 

っとまあツラツラと書き連ねてみたがいかがだろうか。

歴史的に連携が苦手なSONY。 しかしプレステ3が間口を広げて作った例はSONY全体の問題の一つの解であると私は考える。

PSVitaも方向性は近い。

これだけの事が出来るのが家庭用ゲーム機なのはただただ驚くばかりだが、7万以上した初代に比べ、今は3万切ってるので買いやすくなったので興味を持った人は今すぐポチれ。

【書評】体制維新―大阪都

体制維新―大阪都 (文春新書)(2011/11/01)橋下 徹、堺屋 太一 

体制維新――大阪都 (文春新書)

 

  • 評価 ★★★★☆

2011/01/28(土)深夜1:30〜4:30に放送された橋下大阪市長(前大阪府知事)の大阪都構想がテーマだった朝まで生テレビを見て、教育基本条例や大阪の実態、橋下知事が果たして今後どんなことをしようとしているのかを整理したくなって早速手に取ったこの本。

  • 第1章 大阪の衰退、日本の衰退(堺屋太一
  • 第2章 なぜ「大阪都」が必要かー対談1(橋下徹×堺屋太一
  • 第3章 改革と権力闘争ー都構想1(橋下徹
  • 第4章 「独裁」マネジメントの実相ー都構想2(橋下徹
  • 第5章 「鉄のトライアングル」を打ち破れー都構想3(橋下徹
  • 第6章 大阪から日本を変えようー対談2(橋下徹×堺屋太一
 
橋下氏はシステムエンジニアのようなやり方で大阪の行政、ひいては日本を変えようとしている。
 
もちろん仕組みそのものを変えようとしているのだから簡単なことではない。

ただ彼は民衆の力を信じているのだと思う。

橋下さんのやりかたを嫌ってるインテリ層は、「そんなことをしたらきっと無能でどうしようもない、国民達がもっと酷い目にあう。」と決めつけ愚民扱いしてるのではないだろうか。

それでいて自分達に当事者意識もない。

橋下さんのやり方を独裁と言う人の誤解はこの本を読めば解ける。

役所連中は独裁だけではついてこない。

実際にテレビで話ているのを見ても分かるが相当な学習量であろう。

そうでなければあれ程の言葉が淀みなく出てくることはないはずだ。

学者連中が資料をペラペラめくって指摘する問題の数字なども何も見ずに自分の言葉で話す。

体系的に理解してないとあんなことはできない。

だから話しているのを聞いても分かりやすい。

橋下氏が議論に強い理由がアメリカが外交に強い理由に似てるなと思った。「アメリカは4年に1回戦争を行う。各州で戦争しあう。それは大統領選挙だ。」

とは東京都副知事の猪瀬直樹氏が昔言っていた記憶があるが、大阪の役所や識者との戦争が日常茶飯事の百戦錬磨の橋下知事は鍛え抜かれたアスリートである。

アスリートは引退も早いのだがどうなるだろうか。

抵抗勢力による攻撃がエスカレートして、命の危険にさらされることの無いように願う。

マネジメントと言う言葉が中盤何度も出てくるが、それに加えるとガバナンス。それこそが今の政治に一番足りないことだろうなと思う。

本の内容についてはBukupeに投稿したので、合わせてどうぞ。 http://bukupe.com/summary/2798 

【書評】なぜ人は宗教にハマるのか (14歳の世渡り術)

なぜ人は宗教にハマるのか (14歳の世渡り術) なぜ人は宗教にハマるのか (14歳の世渡り術)
(2010/03/17)
島田 裕巳

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評価 ★★★☆☆ 

Facebook上でのやりとりでなぜ人は盲目的にある特定の人物を信じるのか?という質問から今回ちょうど良い機会だし宗教関連の本でも読んでみようと思い手にしたのがこの本。

全227ページで新書と同じくらいの分量なのでささっと読めるし。

 

章だけ取り上げてみると、

第1章 君はもう信者だ

第2章 親に押し付けられる宗教もある

第3章 学校が宗教

第4章 友だちの宗教

第5章 宗教って何だろう

第6章 どうして宗教にハマるのか

第7章 危険な宗教もある

第8章 信者は操り人形に過ぎないのか

第9章 宗教にかかわった経験を生かす

 

第1章の名前からして「君はもう信者だ!」という面白いタイトル(笑)で、統計上でみると日本の宗教の信仰者は2億900万人で日本の総人口より多い謎や、日本で500年の歴史があるキリスト教が300万人しかいない、つまり全然根付いてないなど知らないことも多く、そういう事実を数字を使った説明で非常に分かりやすく解説してある。

日本人なら統計上でみると、もれなくナントカ教の信者なのである。

初宮参りから七五三、成人式に葬式、そのあとの一周忌や三回忌、等々宗教活動は目白押しである。

日本人が属している宗教に無自覚なのは神道と仏教が役割分担してる珍しい国だからだというのは何となくそんな気がしてたけど説得力がある。

海外からみるとその行為は信仰そのものである。

逆に欧米人をクリスチャンと呼ぶ人もいるが、欧米人の中でも「アイツはクリスチャン」と呼ばれる人がいるらしい。という話からも分かるように信仰の度合い(程度)の問題だということが分かった。

私たちが日常何気なく繰り返している行為は宗教が絡んでいるということだ。

 

内容は次第に新興宗教に移る。

新しい教団ほど勧誘が激しいように、創価学会が出てきた昭和30年代、高度経済成長期の若者の心の闇や最初に折伏(しゃくぶく)というもの…ほぼ道場破りヨロシクで論破しまくって会員を増やしていったとか割と日蓮宗以降の新宗教統一教会オウム真理教)についての歴史認識と基本知識を吸収するのにちょうど良い。

 

あとカルト宗教とは定義が難しいってのは確かにそうだと思った。

非科学的なものはカルトかというとキリスト教もそうなる。

キリスト教はキリストが死後三日後に生き返ったという非科学的な成り立ちを持っているからね。

蛇がアダムとイブに性の知識を与えたとか理解出来ないことも多い。

日本は日本で、菅原道真は讒言され太宰府に流されて失意の内に死んで、雷神になって祟ったという恐ろしい言い伝えなのだが、それがどう歪曲されたか、学問が得意だったので、学業の神にされてしまったなどは面白すぎだ。大いなる勘違い。

正に「鰯の頭も信心から」である。

 

ハマる理由としては世の終わり論からくる恐怖や不安、生活していくなかで感じる挫折やむなしさ、自己実現からくる欲求、人間関係の依存と色々あるようだ。

 

結論としては客観的に比較してみる力を小さいときから養うことだ。

自分自身の世界を小さく見積もり過ぎると相対的に回りのものが全てで絶対視するものばかりになるからだ。

宗教を突き詰めてしまうと、鳥居もくぐれないし特定の授業も受けられないし、輸血も受けられないし、アレは食えないコレも食えない…と大変なことが多そう。

しかし他人の信仰を否定する必要もないということだけどね。身近な人達には大らかになってくれることを願います。

グローバル化が秒単位で進む中で宗教は気になるテーマではあるので宗教関連の情報は注目したいところだ。

 

ちなみに著者の島田裕巳氏は、『日本の10大新宗教』や『葬式は、要らない』などの宗教関連の本を多数出版されています。

 

と初書評だから少々長くなったけど、次回からは半分くらいにしよっと。