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たったこれだけ? - 読感 -『面白い本』成毛眞

たった4冊。
最初に言っておこう。
たったこれだけ?と言うのは私がこの本で紹介される100冊のうち読んだ本の数である。
面白い本 (岩波新書)

面白い本 (岩波新書)

  • 作者:成毛 眞
  • 出版社:岩波書店
  • 発売日: 2013-01-23
Amazonの内容紹介
面白いにもホドがある! 書評サイトHONZの代表が太鼓判を押す、選りすぐりの面白本100冊。ハードな科学書から、シュールな脱力本まで。いずれ劣らぬ粒ぞろい。一冊でも読んだら最後、全冊読まずにいられなくなる。本代がかかって仕方がない、メイワク千万な究極ブックガイド。

冒頭は著者の本に対する考えや歴史が展開される。
 
水滸伝から百科事典を読んでいき「自分が何を知らないのか」が分かることがとにかく面白かった子供時代。
百科事典は自分が知りたいことも知りたくないことも並列して載っていてそれを読むのが意味もなく楽しかった。
そんな子供が大人になるにつれノンフィクションに興味を移していく。

こんな始まりなのだがこの本とにかく目次から面白いのだ。
目次も面白いというのは良書の法則かもしれない。
1.ピンポイント歴史学
  • 真面目にオーパーツ 
  • 現在日本民俗学 
  • 国家という悪魔 
2.学べない生き方
  •  破天荒過ぎて学べない 
  • 脱力しすぎて学べない 
  • 天才すぎて学べない 
3.ヘビーなサイエンス 
  • 不都合なヒトと合理的な生き物 
  • 地球の真実 
  • 読ませる医学 
  • 数学と工学のドラマ 
4.シチュエーション別読書法 
  • トイレット•ライブラリーのススメ 
  • 電車の中で読んではいけない 
  • 子どもといっしょに読む絵本 
箸休め 目が離せない翻訳者 

5.嘘のノンフィクション
  •  ウソか?マコトか? 
  • ウソとマコトの実話 
6.タイヘンな本たち 
  • 手に負えない人たち 
  • 突き抜けた人生 
箸休め 足でしかみつけられない、意外な秀作 

7.金と仕事とものづくり 
  • さまざまな仕事 
  • 経済というアート
8.事実は小説より奇なり
  •  運命に翻弄される人たち
  •  命からがら 
9.鉄板すぎて紹介するのも恥ずかしい本



本著は箸休めまでを含めて非常にテンポが良い。

著者は何故この本を手に取ったのか?というのを考えるだけでも楽しい。
1章でいきなり世界のオーパーツで始まり、全く知らない世界に連れていかれる。
世界の歴史についてあまり詳しくないので『トンパ文字』なぞ全く見たことも聞いたこともないが、その背景を知るうちにその本が気になってしょうがなくなっていく。
『サルたちの遺言』ではサルの信頼関係とか人間との違いは何かを考えざるを得ないし、毛沢東ポルポトスターリン731部隊の本の紹介では驚愕する。
そして各本にはキャプションが付けられているのだが『武士マニュアル』の正しい介錯教えます。や『はい、泳げません』など1貢1爆笑の奇跡では爆笑してしまった。
しかし『なぜ人妻はそそるのか?』とか一見無駄にしか思える本を積極的に読んでいることが著者の懐の深さを感じさせるし、僕の浅さだろう。
まあそういう世界の広さを知ったり笑ったりいろんなことを思える本だと思う。
 
本著で紹介する本が100冊なのも著者自身が好きだった百科事典と掛けてるのかなと思ったりする。
あとがきに、
本書で紹介した本の冊数は100冊である。すべて購入すると約20万円になる。これを高いと思うか安いと思うか。その判断は読者の皆さんにおまかせしよう。

とあるが、それを判断するには読むしかないのだが、日本の書籍の値段は世界と比較すると安いというという事実は押さえておきたい。
とりあえず大河内直彦氏の『チェンジングブルー』を購入した。

 

★★★★☆